はじめに
前回、Django環境をDockerを使用し構築しました。
上記の記事で解説した環境に、PostgreSQLを追加する手順を解説します。
また、PostgreSQLを管理するためのツールである、pgAdminもインストールします。
本記事ではDjangoの開発環境をDockerで構築し、VS Codeからリモートで開発を行います。
今回使用する環境とバージョン
他にも私のブログで、Djangoについて解説している記事がありますのでご覧ください。
ちなみにMySQL/phpMyAdminを追加する方法は、以下の記事をご覧ください。
VS Codeインストール
VS Codeのインストール方法は、以下の記事にまとめましたのでご覧ください。
VS Codeのオススメ設定や拡張機能などは、以下の記事にまとめました。
Dockerコンテナの設定
Dockerfile
前回の続きになりますので、構築が済んでいる状態で解説します。
まずは、Dockerfileの定義を修正します。
PythonからPostgreSQLを操作するために、「psycopg2」というライブラリをインストールします。
FROM python:3.6
ENV PYTHONUNBUFFERED 1
RUN pip install django
RUN pip install psycopg2
docker-compose.yml
「.devcontainer」フォルダの中に、docker-compose.ymlファイルを作成します。
PostgreSQLなどが稼働するコンテナを複数追加しますので、Docker Composeを利用します。
まずは、それぞれのコンテナごとに解説しています。
最後には全容を載せています。
Pythonコンテナ
「web」というサービス名で、Pythonコンテナを作成します。
Dockerfileをベースにビルドを行います。
web:
build: .
tty: true
volumes:
- ../:/workspace
depends_on:
- db
PostgreSQLコンテナ
postgresイメージを使用しました。
バージョンの指定はしませんが、最新のPostgreSQL 14系がインストールされます。
DB名と、ユーザ名、パスワードを任意で指定します。
db:
image: postgres
volumes:
- postgres_data:/var/lib/postgresql/data
environment:
POSTGRES_USER: postgres
POSTGRES_PASSWORD: password
POSTGRES_DB: django_sample
...
volumes:
postgres_data:
pgAdminコンテナ
pgAdminのイメージを指定しました。
バージョンは指定していませんが、pgAdmin 6.5がインストールされます。
pgAdminにログインするためのメールアドレスとパスワード、ホスト側のポート番号を任意で指定します。
pgadmin4:
image: dpage/pgadmin4
ports:
- 8888:80
volumes:
- pgadmin4_data:/var/lib/pgadmin
environment:
PGADMIN_DEFAULT_EMAIL: xxxxxxxxxx@gmail.com
PGADMIN_DEFAULT_PASSWORD: password
depends_on:
- db
...
volumes:
...
pgadmin4_data:
全容
改めて、docker-compose.ymlの中身は以下のようになります。
version: '3'
services:
web:
build: .
tty: true
volumes:
- ../:/workspace
depends_on:
- db
db:
image: postgres
volumes:
- postgres_data:/var/lib/postgresql/data
environment:
POSTGRES_USER: postgres
POSTGRES_PASSWORD: password
POSTGRES_DB: django_sample
pgadmin4:
image: dpage/pgadmin4
ports:
- 8888:80
volumes:
- pgadmin4_data:/var/lib/pgadmin
environment:
PGADMIN_DEFAULT_EMAIL: xxxxxxxxxx@gmail.com
PGADMIN_DEFAULT_PASSWORD: password
depends_on:
- db
volumes:
postgres_data:
pgadmin4_data:
devcontainer.json
devcontainer.jsonファイルを以下のように修正します。
- dockerComposeFileにdocker-compose.ymlを指定します。
- workspaceFolderは、コンテナ側のディレクトリを指定します。(プロジェクトディレクトリ)
- serviceは、使用するコンテナを指定します。(Pythonコンテナ)
{
"name": "Django Sample",
// Dockerfileでイメージ・コンテナを作成
"dockerComposeFile": "docker-compose.yml",
// VS Codeのワークスペースフォルダ
"workspaceFolder": "/workspace",
// 使用するサービス
"service": "web",
// リモート先のVS Codeにインストールする拡張機能
"customizations": {
"vscode": {
"extensions": [
"ms-python.python"
]
}
},
"shutdownAction": "stopCompose"
}
コンテナのビルド
VS Codeを起動し、F1キーを押しコマンドパレットを開きます。
「Open Folder in Container」と入力し選択します。
参考までに以前とメニューの表示方法が変わりました。
今回作成したプロジェクトフォルダを開きます。
私の場合は以下です。
Windows例:
\\wsl.localhost\Ubuntu\home\xxx\django-sample-app\
Mac例:
/users/xxx/Documents/django-sample-app
開く際にコンテナがビルドされます。
もし既に開いている状態であれば、コマンドパレットから「Dev Containers: Rebuild Container」を選択し、ビルドし直すこともできます。
Docker上から、三つのコンテナが稼働しているのが確認できます。
Djangoのテーブル作成
Djangoのデータベースの設定を変更します。
デフォルトでsqlite3が指定されていますが、PostgreSQLに変更します。
DATABASES = {
'default': {
'ENGINE': 'django.db.backends.postgresql',
'NAME': 'django_sample',
'USER': 'postgres',
'PASSWORD': 'password',
'HOST': 'db',
'PORT': 5432,
}
}
VS Codeのターミナルを開きます。
以下のコマンドでDjangoのテーブルを作成しましょう。
$ python manage.py migrate
以下のような出力になればOKです。
Operations to perform:
Apply all migrations: admin, auth, contenttypes, sessions
Running migrations:
Applying contenttypes.0001_initial... OK
Applying auth.0001_initial... OK
Applying admin.0001_initial... OK
Applying admin.0002_logentry_remove_auto_add... OK
Applying admin.0003_logentry_add_action_flag_choices... OK
Applying contenttypes.0002_remove_content_type_name... OK
Applying auth.0002_alter_permission_name_max_length... OK
Applying auth.0003_alter_user_email_max_length... OK
Applying auth.0004_alter_user_username_opts... OK
Applying auth.0005_alter_user_last_login_null... OK
Applying auth.0006_require_contenttypes_0002... OK
Applying auth.0007_alter_validators_add_error_messages... OK
Applying auth.0008_alter_user_username_max_length... OK
Applying auth.0009_alter_user_last_name_max_length... OK
Applying auth.0010_alter_group_name_max_length... OK
Applying auth.0011_update_proxy_permissions... OK
Applying auth.0012_alter_user_first_name_max_length... OK
Applying sessions.0001_initial... OK
pgAdminから確認
pgAdminコンテナも作成しましたので、ブラウザから以下のURLにアクセスします。
http://localhost:8888/
pgAdminの画面が表示されました。
メールアドレス、パスワードは、docker-compose.ymlの「pgadmin4」に記載の通りです。
管理画面が表示されました。
作成したPostgreSQLのデータベースを操作できるようにしましょう。
「Add New Server」をクリックします。
Nameは任意で指定します。
接続情報を入力します。
ホスト名はコンテナを指定しますので、「db」を指定します。
データベースのダッシュボードが表示されました。
「Properties」を確認するとPostgreSQL 14.2が稼働しているのが確認できます。
Djangoで作成したテーブルを確認します。
データが正しく挿入されています。
トラブルシューティング
pgadmin4コンテナが起動しない
docker-compose.ymlで、PGADMIN_DEFAULT_EMAILにメールアドレス形式ではない文字を指定するとコンテナ起動時にエラーになります。
environment:
PGADMIN_DEFAULT_EMAIL: root
PGADMIN_DEFAULT_PASSWORD: password
これは古いバージョンのpgAdminでは問題ありませんが、最新のバージョンではエラーになります。
コンテナ起動時のエラーログは以下のようになります。
この場合、コンテナは起動していませんので、URLにアクセスしてもpgAdminの画面が表示されません。
‘root’ does not appear to be a valid email address. Please reset the PGADMIN_DEFAULT_EMAIL environment variable and try again.
pgAdmin操作時にエラーが発生する
pgAdminがサポートしていないバージョンのPostgreSQLを操作しようとするとエラーが発生します。
例えば、pgAdminが古く、PostgreSQLが新しい場合です。
Error retrieving the information – INTERNAL SERVER ERROR
ERROR: column rel.relhasoids does not exist
LINE 8: pg_get_userbyid(rel.relowner) AS relowner, rel.relhasoids,…
pgAdminのドキュメントを確認します。
例えばpgAdmin 5.7の場合は、PostgreSQL 14をサポートしていません。
この組み合わせの場合は、エラーが発生します。
その他
外部サーバーへ公開
作成したアプリは公開して使ってもらいましょう!
Djangoアプリケーションを外部公開する方法をまとめました。
脆弱性対策
脆弱性を抱えたアプリケーションの場合、攻撃を受ける可能性があり大変危険です。
作成したアプリケーションは、脆弱性対策も意識しましょう。
GitHubと連携
GitHubと連携する方法を解説しました。
プロジェクトの管理はGitHubを活用しましょう。
GitHub Copilot
GitHub Copilotを導入し、AIにコーディングをサポートしてもらうこともできます。
さいごに
今回はDjango環境をDockerを使用し、さらにPostgreSQLを追加する手順を解説しました。
Dockerを使い、コンテナを追加するだけで簡単に拡張できました。
コンテナを作り直すことも容易ですので、開発に便利です。
他にも、Django REST Frameworkを導入すると、APIが簡単に実装できます。
是非活用しましょう。
他にも私のブログで、Djangoについて解説している記事がありますのでご覧ください。
コメント
Djangoの環境構築の分かりやすい解説ありがとうございます。
さて、postgresでデータベースを作成するために「Djangoのテーブル作成」の項目まで進めました。
settings.pyもdocker-compose.ymlファイルで設定した’NAME’,’USER’,’PASSWORD’に変更したのですが、python manage.py migrateしようとすると、以下のようなエラーが出てしまいます。
どのように対処すればよいですか?
こちらでも改めて最初から手順通りに試しましたが、問題ありませんでした。
エラーについてはそのままの通りで、DB作成時に指定したログイン情報と、Djangoの設定に記載したDBのログイン情報が一致していないためです。
コンテナを作成した後に、docker-compose.ymlのDB情報を変更したのではないでしょうか。
DBはDockerのボリューム側に永続化され作成されるため、上記の変更を行いコンテナをリビルドしても変更されません。
一度Dockerのコンテナやボリュームを削除してから、最初から試してみてください。
最初に設定したユーザー名、パスワードで行うと、runserverできました!
これらが永続化されて作成されることが理解できていなかったので、次から覚えておきます。
続きを進めていきますね。
ありがとうございました。